読了の向こう側に一体何があるのか

名著読了後の世界が知りたくなった主婦のブログ

自分が何をしなければならないのかが自ずとわかる、すばらしい小説です。

 

2月5日、『おとなの教養2』池上彰

2月7日、『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』出口治明

2月12日、『一九八四年』ジョージ・オーエル

読了。

 

 

おとなの教養 2―私たちはいま、どこにいるのか? (2) (NHK出版新書)

おとなの教養 2―私たちはいま、どこにいるのか? (2) (NHK出版新書)

  • 作者:池上 彰
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 単行本
 

 

 

本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法

本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法

 

 

 


やはり『一九八四年』を読了したことは、感慨深い。

なぜなら、池上さんも、出口さんも、齋藤先生も、著作中で『一九八四年』に言及しており、この本が古典的名著であり、読むべき本であるとおっしゃっているからだ。

そういう本を一冊、また一冊と読了していくことは、貴重なものを積み上げていく感覚に近い。

いや、実際、お金を大切に貯金するように、私の心の中に、賢者の言葉、齋藤先生風に言うなら「賢者の木」が蓄積されていくのだ。古典を読めば読むほどに心の森が豊かに大きくなっていき、私が生きる助けになってくれる。

そう信じたい。信じている。

 


さて、以下には『一九八四年』の感想を書くので、ネタバレされたくないという方はこれ以上はおすすめしません……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


この本は、おぞましいディストピアを描いている。『夜と霧』を読んだ時と同じで、つらくて読むのを辞めたくなるが、人間が極限状態で何を考え、何を想い、どのような行動をするのかが気になり、ページをめくる手が止まらなかった。

『夜と霧』は生きて帰れたという事実があるので、目を覆いたくなる文章もなんとか耐えることができた。一方で『一九八四年』はというと、正直後半の拷問の描写は読み飛ばしてしまった。重要な所は飛ばしたくないので、一行二行を目で「撫でる」ように飛ばして、また少し読み、拷問の描写が出てくると撫で飛ばして……何とか最後まで辿り着いた。
やっとの思いで辿り着いた最後の一行だが、それを読み終えた時の、あの救いのない気持ちは、きっと一生ついて回るだろう。私は二度目の読書ができるだろうか?自信がない。

しかし、まだ読んでいない人には強く言いたい。

「読んでみてください」

この本には、人間が思考することによって人間たりえるということが書かれています。

思考を奪われた時、すべてを失うということが書かれています。

自分の頭で考えたくても、考えることを奪われた人たちが描かれています。

同時に、自分の頭で自由に思考することが許可されているのに、思考しない、できない人たちが描かれています。

その世界は、ディストピアでした。

この小説の世界におぞましさを感じるのなら、自分が何をしなければならないのかが自ずとわかる、すばらしい小説です。

 


2+2は4だと言える社会に私たちは幸運にも生まれた。

それは、とてもとても幸せなことであり、2+2は5であると強制される世界にしてはならない。それを許してはならない。

2+2は5だと言われたら毅然として「違う」と言わなければならない。

それは私たちの義務。

その前に、2+2が4であると理解できるようでなければならない。2+2が4であるとわかること、それは過去から学ぶことであり、異人から学ぶことであり、今あるすべての事柄から何かを感じ、そして、

 

 

 

自分の頭で考えることである。

 

 

 

 


だから、これからも古典を読みましょう。

一緒に。

 

 

 

 

 

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

 

すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。

 池上彰さんの著書を読みふけっている。

2月1日、『知らないと恥をかく世界の大問題10』

2月2日、『おとなの教養』

2月3日、『一気にわかる!池上彰の世界情勢2020』

そして今現在、『おとなの教養2』を読書中。

 

 

 


最近、コロナウイルス関連のニュースに触れることが多く、不安障害を患う私のメンタルはかなりやばい。

それに追い打ちをかけるように、コロナ蔓延を嫌気した投資家がリスクオフしたため、ご存じの通り日経平均はダダ下がり。当然、私の投資もうまくはいかず……。

下がる相場でも稼ぐ手段はもちろんあるけど、そして私も少しは実践してるけど、乱高下するのが痛い。

とにかく疲れる。

しばらく休むのが絶対正解だとわかっているのに、乱高下こそ稼げるのでは。。。という下種な(?)衝動にかられ、つい手を出してしまう。そして負ける、の繰り返し。

本当に弱い人間だよ、私は。

そのくせ、減っていく自分の資金を見ながら心では大泣きしてるんだから。

何やってんだか。

 


そんな精神状態の中、池上さんの本を手に取ったのは、宿命だったのかもしれない。

池上さんの語りを聞いていると(実際は読んでいるんだけど)、心が落ち着いてくるから不思議だ。

語られている内容は、悲惨だったり、どうしようもなかったり、うまくはいかないことばかり。怒りや、虚しさや、ため息や。そんなものがあふれ出てきそうな内容なのに、不思議に平穏なあのすばらしいウユニ湖みたいな気分になる。

 


それは、しっかりと地に足を着け、強くしなやかな芯を自分の中に持っている人の言葉だからなのだと気づく。

 


池上さんはこうおっしゃっている。

現在のめまぐるしく動く世界情勢、日本の情勢にあたふたと慌てふためき、動揺しないですむように、自分のいる位置を見失わないようにするために、また、わけもわからないまま流されてしまわないために、『教養』を身につけるのだ、と。

 


その言葉は、私の心に刺さった。

教養はこの世界を生き抜くための武器になるんだ。

投資技術を学んでこの負の経済活動から抜け出そうと私は思った。

同時に、齋藤孝先生からも、本を読み、自分の頭で考えることの重要性を教わった。

そして、池上先生。

正しく理解することの大切さ。自分はどこからきて、どこへいくのか。

自分ひとりの経験から学べる量などたかがしれている。再び同じ過ちを売り返さないよう、本を読み、新聞を読み、世界を読み、過去から学び、他人から学び、それを理解する能力を身につけて、生き抜いていく。

私も、コロナウイルスに踊らされ、マーケットに踊らされ。

それじゃまだまだ甘いんだ。もっともっと勉強して、理解して、その時その時に一番ふさわしい行動を、自分自身で即座に判断できるようになりたい。

池上彰さんというメンターがまた一人増えた。

 


最後に、私がもっとも感動した一文を。

すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。
すぐに役に立つ技術は、この進歩の激しい現代において、すぐに別の技術にとって代わられてしまう。だから、ハーバード大学でも、マサチューセッツ工科大学でも、すぐに役立つ技術は教えないのだとか。

池上先生がエリート女子大学のウェルズリーカレッジを訪問した際、案内してくれた利発そうな学生が、「私は経済学を学んでいる」と話し、それと同時に「でも、経営学は学ばない」と言った。

なぜかとたずねると、「経済学は世の中の仕組みを分析する上で必要な知識であるから学ぶ。でも経営学は、会社に就職して働く上で役に立つ学問だから、すぐに役に立ちすぎるので大学では教えない」と言ったそうだ。

池上彰さんでも、目からウロコが落ちた思いでした、と語っている。

 


私も、様々なことにおいて(こと、トレードにおいて)、結果を急ぐあまり大切なことを置き去りにしてきたのではないか。

だからこのような、過去に何度もあり、解決して進んできたような事柄にぶんぶんと、馬鹿みたいに振り回されているのではないか。

疲れた、と先ほど言ったが、自分で自分のしっぽを追いかけ、ぐるぐると同じ場所を回っている犬ではないか。(言い過ぎ?)

 


落ち着け。

まずは、リベラルアーツを学ぶんだ。

ことはそれからだ。

 

 

 池上先生、どうぞこれからも、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

知らないと恥をかく世界の大問題10 転機を迎える世界と日本 (角川新書)

知らないと恥をかく世界の大問題10 転機を迎える世界と日本 (角川新書)

  • 作者:池上 彰
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/08
  • メディア: 新書
 

 

 

おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)

おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)

  • 作者:池上 彰
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/04/09
  • メディア: 新書
 

 

 

一気にわかる! 池上彰の世界情勢2020 自国ファースト化する世界編

一気にわかる! 池上彰の世界情勢2020 自国ファースト化する世界編

 

 

その河だけが、万人に、いや万物に平等だという事実。

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1月24日、遠藤周作『深い河』読了。

もっと難しい語り口で、難しい内容なのかなと思っていたが、真逆で、やさしく、とても読みやすい文章で先が気になってしかたがなくて、早く寝なければいけないと思いながら、深夜まで読みふけってしまった。

面白くて面白くてページをめくる手が止まらない本。

そして、先へ進むほどに孤独が募り、悲しみが押し寄せ、諦めが襲い、無力感に放心する、私にとって『深い河』はそんな小説だった。

生きることはつらい、と私はよく思うが、「生きることはつらい、だけどたまに、ほんの少し、ほんの短い間だけだけど幸福を感じる瞬間がある。だから生きていける」。日本に生まれ、日本に育った私の人生観。
「自尊心を傷つけられた」とか、「努力してるのに欲しいものが中々手に入らない」とか。「自己中な性格で人から嫌われる」とか「不安障害で苦しい」とか、「人間関係に疲れた」とか、挙げ句の果てには、「毎日同じ事の繰り返しで辛い」とか。

私の思う人生は辛いなんてその程度だ。まるで嫌味だった。まるで戯言だった。

彼らは人間の形をしながら人間らしい時間のひとかけらもなかった人生で、ガンジス河で死ぬことだけを最後の望みにして、町にたどり着いた連中である。
と本文にある。

ガンジス河に流されることだけを目標にして生きる人々。

それ以外、およそ人間らしいことの何一つも望むことの許されない、人生。

そんなアウト・カーストの姿もこの小説の重要な要素だ。アウト・カーストと向き合う1人の日本人神父の生き様も。それ以外にも転生や愛や日本人的キリスト教など、さまざまな要素を含む本小説。

色々ある中で、私はどうしても彼らのことが強く心に残る。

人間の形をしているのに、人間として扱われない人々のことが。

道端で、泡を吹いてうずくまっていても、誰にも、一瞬たりとも、見向きもされない人々のことが。

胸の奥のあたりが重苦しい。

 


死人の灰を流す火葬場のすぐ近くで、無数の男女がその河の水を口に含み、全身を水に浸す。そして祈る。祈る最中にも犬の死体がすぐ傍を流れ去る。生と死。善と悪。神聖と淫猥。人間と非人間。何もかもがごちゃまぜになり、その混沌すべてを飲み込んで悠々と流れる河。

その河だけが、万人に、いや万物に平等だという事実。

人間って何?

思わずそう呟いている。

考え出すと、怖くなる。

私は本当に、人間なのかーー

 

 

 

 


背筋が凍るほどの不平等の対比としてガンジス河を想う時、ヒンドゥー教の人がなぜ、深い河をこんなにも求めるのかを、少しだけ、少しだけ、塵の百億分の一ほどの小ささで、感じたような、気がした。




深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

 

 

 

 

 

わかるよ、その気持ち、痛いほどわかるよ、おじさん!!!!

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1月18日、トーマス・マン著『ヴェネツィアに死す光文社古典新訳文庫

読了。

 

 

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:マン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: Kindle
 

 

 

この小説は解説の冒頭一文にあるように、

長年仕事一筋、律儀に働いて初老を迎え、ふと旅心に誘われ、出かけた先で恋に落ちる。忘れていた胸の高鳴りに驚き、喜び、混乱し、一度は抵抗してみるもののそれが恋だと認めてからは破滅の道をまっしぐら。

という小説である。

初老の男が若干14歳ほどの美男子に魅了されるという構図は、当時相当センセーショナルだったのだろうが、今日のしかも日本においては、歴史的側面においてもそうそう衝撃的でもないし、

誰しもが一度は経験したことがあるであろう、「恋心」を描いている以上、いくら時代が一世紀前だろうが、文化的背景が全く異なっていようが、主人公の性別が違おうが、何一つとして障壁にはならない。

てっとり早く言えば、

 

 

「いや、めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃわかる!!!!!!!!わかるよ、その気持ち、痛いほどわかるよ、おじさん!!!!!!」

 

 

という感じ。

なんかね、最初は恋なのかそうでないのかわかんなくて、あえて違うというテイで行動してみるじゃないですか。小説の中だとそれは美男子タッジオと出会った旅先を離れようとする行動なんだけれども、移動している最中どんどんどんどん、後悔の念が胸に広がってくる。かといって今更引き返すこともできないし、ああこのまま私はここを離れてしまうのか……と苦しみ悶えていると、ふとしたトラブルが起こる。別に、引き返すことだけが解決策ではないのだが、渡りに船とばかりに凄まじい勢いで引き返す選択をする主人公アッシェンバッハ。

 

…………( ^ω^)。

わかる~~~~~~~~~~~

 

わかるよ、おじさん。

 

さらにさすがは西洋、バカンスは長くて、毎日毎日滞在先ホテルで顔を合わせているうちにどんどんと恋心を拗らせてしまうおじさん。

ついにはストーカーばりにタッジオを付け回し始めます。

いや~~。。いけないことよ?いけないのはわかっている前提で言いますけど、

 

わかる~~~~~~~~~~~~~~~

 

おじさん!すごいな!

 

もう拗らせ方が凄すぎて、最後は自分の命の危機まで回避できなくなるありさま。

でも、それが恋の力なんだろう。さすがに私はそこまでいったことはないけど、四六時中考えたり、いろんな出来事を相手と結び付けたり、家を知りたくなったり、とか、あるじゃないですか。もう、ほんと、今も昔もなーんにも、人って変わらないんだな。と思って。

安心しました。

 

いつも古典を読むと思うことだけど、本日もやっぱり、この一言ですな!

 

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:マン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: Kindle
 

 

ポジティブ8割、ネガティブ2割がちょうど良いとか。

1月17日、『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』読了。

 

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

 

 

『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』というタイトルが私はあまりしっくりこなくて、というのも、原題『The UP SIDE of Your DARK SIDE』がシンプルでとても好きだからなのだが、まあ日本で売り出すには直訳ではインパクトがないのでひねる必要があるのだろうなぁというのは理解できる。

特にこういうノウハウ本?ビジネス書?は「成功」という文字がキーでもあるのか。実際には、成功に関するノウハウというよりは、ネガティブな感情を時と場合に応じて上手く使いこなせれば、ポジティブな感情オンリーでいくよりも物事がうまくいくよ☆というものであった。

私は根っからの根暗で内向的でネガティブ感情モリモリでここまで生きてきた。コンプレックスだとか、嫉妬心だとか、自己否定だとか自己嫌悪だとか、極度の心配性だとか(現在不安障害で療養中ですらある。筋金入りなのだ)。

特に2012年に結婚してなじみのない茨城県に引っ越してからはしばらくどん底を経験していて、その時期に会った東京時代の友達はみな、私のあまりの自己肯定感の低さに引いてすらいた。

さすがに、これではいかんと思い、ポジティブになろう、とがんばったのが2018年~2019年にかけて。特に2019年に夢をかなえた人たちの自叙伝的ビジネス本や、堀江貴文の『ゼロ』など数冊を読み、メンタリストDaiGoのニコニコ動画会員になってからというもの、自分もやりたいことを追求していいのだし、追求すべきだし、追求しなかったのは自分の責任なのだという気持ちから、ポジティブ感情に支配され、やる気満々、レッツGOGO!!状態で突っ走っていた。

ネガティブな感情が浮かんできたら、即座に打ち消して、ポジティブ感情に置き換える。無理やり毎日ポジティブなことをノートに書く。ネガティブに支配されていた過去のどん底だった自分に戻ってしまってはいけないし、戻ってしまうのが怖いし、戻ってしまえば成功など夢のまた夢なのだと言い聞かせていた。

それが、全くの間違いだったとは。

でも確かに、感情のネガ、ポジにかかわらず、その感情に「支配されている」状態など間違いに決まっている。冷静に考えればわかるはずなのに。

成功本にはポジティブ感情こそ大事!と書かれている確率が高いので、そう流れてしまうのは致し方ないといえば致し方ない。

本書にも、今の世の中は全体として「ポジティブこそ正義」みたいな雰囲気があり、その雰囲気に多くの人が飲まれているという。

大事なのは、一歩引いた場所から自分の感情を観察し、ネガティブな感情はなんのために沸き起こったのか?今、この状況においてネガティブな感情を使ったほうがいいか否か?と考え、状況に応じた感情を戦略的に使うことだという。

ネガティブな感情、例えば恐怖や怒り、嫉妬、諦めなどは、不必要なものではない。むしろ生きていくうえで必要不可欠なものであり、使いこなすことにより人生をもっともっと良い方向に導くことができる。

ポジティブ8割、ネガティブ2割がちょうど良いとか。

 

 

読了して、2019年にモーレツにポジティブ信者だった私はかなり恥ずかしくなった。だが、落ち着くにつれ徐々にうれしい気持ちがわいてきた。

あの、苦しかった2012年以降約6年間。あの時期がむしろとても意味のある時期だったと肯定されたと感じたからだ(6年は長すぎるけど)。

あの時感じたあらゆるネガティブな感情は、「この生活を続けてはいけない」というメッセージだったのだ。一生懸命に私は、私に対して警告を発していた。今のままではいけない、もっと、やりたいことをやっていいのだ、と。実際に動き始めるまでその気持ちは続いた。自分の夢に向かって一歩踏み出してみれば、自然にネガティブ感情の量は減り、代わりにポジティブな感情が大きくなってきたように思う。

大いに納得したし、自分の過去を丸ごと受け入れることができて、とても充実した読書になった。

著者のトッド・カシュダン、ロバート・ビスワス=ディーナーには感謝しかない。

 

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

 

 

ただ書くことのためだけに今日も書こう

ジュリア・キャメロン著『あなたも作家になろう』読了。

 

あなたも作家になろう―書くことは、心の声に耳を澄ませることだから

あなたも作家になろう―書くことは、心の声に耳を澄ませることだから

  • 作者:ジュリア キャメロン
  • 出版社/メーカー: 風雲舎
  • 発売日: 2003/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

控えめに言っても、この本は私の人生を変えた。

 

「書き続ける限り、あなたはいつだって作家なのよ」という、シンプルで力強く、安心する言葉をくれる彼女のおかげで、私は作家になることだできた。この本に出合わなかったら(正確には、処女作『ずっとやりたかったことを、やりなさい』に出合わなかったら)、私は今でも「書きたいけれど書けない作家志望の女」もしくは、「書いてはみたもののちっとも上手に書けず先も思い浮かばず、中途半端に書き散らかす作家志望のやっかいな女」のまま一生を終えたかもしれない。

この本は、「ただ書くことのためだけに書くこと」が何よりも大切であり、むしろ作家になるために、それ以外に重要なことはひとつもないと教えてくれた。

「書く人」を作家というのであり、本を出版したことがあるか否か、また、それがどのくらい人々に読まれたのかという事実は一切関係がない。と彼女は言う。

そんな簡単なことを、そんな単純なことを、どうして私はしてこなかったのだろう。

それについても、ジュリアは解説してくれる。私たちの中には「内なる厳しい検閲官」がいて、

「そんなくだらない文章、だれが読みたいと思うのか」

「もっとわくわくして先が読みたくなるような話を書けよ」

「自分の思ったことをただ書き連ねただけのものが小説?笑わせないでくれ」

など、書こうと思う人の前に立ちはだかり、厳しく否定し続ける。この検閲官のせいで、私たちは自由に書けなくかっているのだ。

彼女はモーニング・ページと言って、寝起きに30分時間をとって、ノート3ページ分に、今、この瞬間に心に浮かんできたこと、まわりの情景(例えば私は今リビングにいて、コーヒーを前にノートを書いている。外は真っ暗で強い風の唸り声が聞こえている……)などを書きつけることを毎日続けるべきだと言う。そうすることにより、検閲官を黙らせることができるのだと。

このnoteの「noteクリエイターガイド」の一番上に「もっとも大事な事」という項目があるのを、12月末に私は発見した。開いてみると、こんなことが書かれていた。

創作活動でもっとも大事なこと
1年前 更新
みなさんにnoteを使っていただくにあたって、何よりも優先していただきたいポイントが2つあります。
・創作を楽しみ続けること
・ずっと発表し続けること
上の2つは、ページビューを増やすことよりも、お金を稼ぐことよりも、あるいはフォロワーを集めることよりも、何よりも大事なことです。
名文や超大作を仕上げようとして手が止まってしまうくらいなら、駄文でも短文でも悪ふざけでも、とにかく気軽に投稿しましょう。
短い文章、下手な文章、ラクガキ...、そういったものを恐れて手をとめる必要はありません。まずは、創作したいこと・伝えたいことを世に送り出す。表現力もファンも、あとから十分ついてきます。

 

まさにジュリアが言っていたのはこのことだ。

書き続けることだけが、道だったのに。

私はいつでも作家になれたのに、なろうとしてこなかった。

小学生の頃の私は立派に詩人だったし、エッセイストだった。

今、あの頃のように書いていることがとてもうれしい。

それでも、いまだに「こんなこと書いてもいいのか?」と思うときは頻繁にあるが、そんな時はこの本を、彼女の言葉を思い出して書いていこうと思う。下手でも、なんでも、自由自在に。大空を羽ばたいて、深海を散歩して。宇宙をのぞき込んで、ノートの中に奇跡を見つけて。

 

ただ書くことのためだけに。

 

今日も、明日も。

 

 

あなたも作家になろう―書くことは、心の声に耳を澄ませることだから

あなたも作家になろう―書くことは、心の声に耳を澄ませることだから

  • 作者:ジュリア キャメロン
  • 出版社/メーカー: 風雲舎
  • 発売日: 2003/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

だって自分の将来を今決めても、世界なんてすぐ変わっちゃうじゃないですか

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インベスターZを読み終わった。

途中から予感していたが、最後はあっさりとひっそりと終わった感じ。

伏線の回収も追いつかず……ネタ切れか、人気切れか。

確かに、15巻あたりまでは実家で大粒の涙を流しながら、また情熱に燃えながらせわしなく

読んでいた私だったが、自宅に帰ってきてからは淡々と読み進めていたように思う。

では読む価値がないかといえば答えは断固 ”NO!”

投資の知識だけに限らず、金融全般について学べ、企業の成り立ちや経営、ベンチャーとはどういうものか、後半にはガンの重粒子線治療などの情報も取り入れながら展開し、読み応えとしては申し分ない。私は特に就職活動を扱った回が印象に残る。

就職活動に悩む登場人物が投資を始めたことにより企業を見る感性が変わり、大企業ばかりを受けることを辞め、企業研究を重ねた結果、最終的にDMMに勤め先を決める。彼女はDMMの経営手法を務めながら学び、独立することを目指している。

そんな彼女が「私にとって会社は一生務める場所じゃない、自分をさらに上へと引き上げるための踏み台なの!」的な発言をする場面がある。

あのねぇ。

ほんとにねぇ。。。

 

 

 

なんで私が就活生だった時にこの漫画なかったの!!!!!?????

ほんっとに!!

自分が86年生まれだってことを恨んだのは久しぶりですよ。全く。

いやぁすがすがしかったな。あの回。若い子に読んでほしいな。

 


そして特に内容が薄いと言われている20巻、21巻。金融の知識面ではそうでも、別の面で私はな心動かされる場面があった。

中学1年生の主人公が志や夢について尋ねられ、あっけらかんと「夢なんてないですよ」と言う場面。将来なりたいものや目標もないのかときかれても「なにもない」と。

彼は続ける。

「だって自分の将来を今決めても、世界なんてすぐ変わっちゃうじゃないですか」

「その時々にやれることをやっていけばいいんじゃないですかね」

そして、大人が子供に夢を持ちそれに向かって努力しろというのは、すごく楽な常套句であり、そんなものに素直に従うほどボクはバカじゃない、と続ける。

この先の展開が私は大好きなのだが、ここには書かないので、ぜひ漫画を読んでほしい。ちなみに私の感想は、御見それしました。の一言に尽きる。

さて、夢というものについては、私も持っているべきものだと信じる人間の一人だった。

私は幼いころ、本屋に自分の書いた本が平積みされているところを何度も想像しては、本を出すことが夢だと同級生や先生に語って生きてきた。でも近い将来、本屋はなくなるかもしれない。これだけネット通販や電子書籍が発達し、利用されているのだ。今後本屋や、紙の出版物が増える可能性は限りなく低いだろう。

つまり、近い将来私の幼いころ描いていた、「自分の本が本屋に平積み」という夢は実現不可能になる、ということ。

その時、私はどうするか。

 

 

 

きっと、こういうことを子どもに伝えろと言うことだろう。

「夢を追え」と簡単に言いっぱなしにするのではなく、「夢」とは何かきちんと伝える。私の場合なら、「夢」というのは名詞ではなく動詞で描け、と伝えたい。

「本屋に著書が平積みにされる作家」ではなく

「書くこと」を夢にしようよ、と。

それならば本屋がなくなろうと、紙の出版物がなくなろうと、実現可能だ。人々が情報や意思を交換するツールとして文字を手放すのはずいぶん先のはずだから。今だって私は紙にではなく、機械に向かって書いている。何かがなくなっても、それに代わるものは出てくる。行いたい「行為」を夢や目標にすれば、実現不可能になることはないだろう。(本当は紙の本が出したいんだけどね……諦めが悪いもので……)

「みんながあこがれるような歌手」ではなく、

「心を込めて歌を歌うこと」を。

「有名な画家」ではなく

「思いのままに絵を描くこと」を。

究極には「自分で次々にワクワクを見つけて、それに没頭できること」かな!

将来はパソコンやスマホすらなくても他者と意思疎通ができるかもしれない。自分で心に思ったことがどの媒体を通さずとも相手に送信までされる世の中かもしれない(人がついに文字すらも手放す時!)。

でもそんな世の中になっても、私は「書くこと」をして生きていたい。

その行為をすでに「書く」とさえ言わなくなっていたとしても。

そんな概念すら無いというのならそれはその時、また違うわくわくすることを見つけて楽しめる自分でいること。これが夢。

 


インベスターZには本当に色んなことを教わったし、考えたし、感動したし、熱くなったし、昔の日本人だってリスクをとることができたと知れてよかった。勇気をもらえた。

充実した読書だった。


インベスターZ(20)

インベスターZ(20)

  • 作者:三田紀房
  • 出版社/メーカー: コルク
  • 発売日: 2017/09/23
  • メディア: Kindle