読了の向こう側に一体何があるのか

名著読了後の世界が知りたくなった主婦のブログ

わかるよ、その気持ち、痛いほどわかるよ、おじさん!!!!

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1月18日、トーマス・マン著『ヴェネツィアに死す光文社古典新訳文庫

読了。

 

 

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:マン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: Kindle
 

 

 

この小説は解説の冒頭一文にあるように、

長年仕事一筋、律儀に働いて初老を迎え、ふと旅心に誘われ、出かけた先で恋に落ちる。忘れていた胸の高鳴りに驚き、喜び、混乱し、一度は抵抗してみるもののそれが恋だと認めてからは破滅の道をまっしぐら。

という小説である。

初老の男が若干14歳ほどの美男子に魅了されるという構図は、当時相当センセーショナルだったのだろうが、今日のしかも日本においては、歴史的側面においてもそうそう衝撃的でもないし、

誰しもが一度は経験したことがあるであろう、「恋心」を描いている以上、いくら時代が一世紀前だろうが、文化的背景が全く異なっていようが、主人公の性別が違おうが、何一つとして障壁にはならない。

てっとり早く言えば、

 

 

「いや、めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃわかる!!!!!!!!わかるよ、その気持ち、痛いほどわかるよ、おじさん!!!!!!」

 

 

という感じ。

なんかね、最初は恋なのかそうでないのかわかんなくて、あえて違うというテイで行動してみるじゃないですか。小説の中だとそれは美男子タッジオと出会った旅先を離れようとする行動なんだけれども、移動している最中どんどんどんどん、後悔の念が胸に広がってくる。かといって今更引き返すこともできないし、ああこのまま私はここを離れてしまうのか……と苦しみ悶えていると、ふとしたトラブルが起こる。別に、引き返すことだけが解決策ではないのだが、渡りに船とばかりに凄まじい勢いで引き返す選択をする主人公アッシェンバッハ。

 

…………( ^ω^)。

わかる~~~~~~~~~~~

 

わかるよ、おじさん。

 

さらにさすがは西洋、バカンスは長くて、毎日毎日滞在先ホテルで顔を合わせているうちにどんどんと恋心を拗らせてしまうおじさん。

ついにはストーカーばりにタッジオを付け回し始めます。

いや~~。。いけないことよ?いけないのはわかっている前提で言いますけど、

 

わかる~~~~~~~~~~~~~~~

 

おじさん!すごいな!

 

もう拗らせ方が凄すぎて、最後は自分の命の危機まで回避できなくなるありさま。

でも、それが恋の力なんだろう。さすがに私はそこまでいったことはないけど、四六時中考えたり、いろんな出来事を相手と結び付けたり、家を知りたくなったり、とか、あるじゃないですか。もう、ほんと、今も昔もなーんにも、人って変わらないんだな。と思って。

安心しました。

 

いつも古典を読むと思うことだけど、本日もやっぱり、この一言ですな!

 

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

  • 作者:マン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: Kindle